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会社の定款を紛失してしまった時の対処法
予防法務
August 30,2020
はじめに
取締役の選任登記や、資本金の変更登記などの際、司法書士や法務局から「会社の定款」の提出を求められることがあります。その際、特に社歴の長い会社などでは定款を紛失してしまっており、困った状態に陥ることがあります。
定款を紛失してしまった際の手続きを説明します。
定款紛失の場合のお作法
零細の中小企業や、創業何十年の老舗企業の場合、さまざまな理由で「定款」を紛失してしまっていることが往々にしてあります。
会社の定款は、平成18年に施行された会社法において取締役会の設置非設置、監査役の有無、役員の賠償責任制限など、さまざまな設計をすることができるようになったことから、いわば「会社の憲法」としての重要性が再認識されているところです。
では、定款を紛失した場合、どのようにリカバリーすればよいのでしょうか。
まず、会社を設立した後、5年以内であれば、法務局に会社の設立登記申請書類一式と定款の写しが保存されていますので、法務局で閲覧や謄写することができます(商業登記規則34条)。
また、会社を設立した後、20年以内であれば、会社設立の手続きの一つである「定款認証」を行った際の公証役場に定款が保存されています(公証人法施行規則27条)。
したがって、公証役場に問い合わせを行い、定款謄本の交付を請求することができます。
会社設立後20年以上経過している場合
雲をもつかむような話になりますが、まず、法務局に赴き、会社設立後、これまで変更したことがある事項(資本額、目的、住所、取締役、監査役、代表取締役など)に関するすべての登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を発行してもらいます。
そして、もし、「設立時の株主総会議事録」が残っている場合には、過去の変更履歴とあわせて、例えば、「この会社は、設立以降、取締役の数は○名のまま推移しているようである」といった手掛かりから、定款に記載する「取締役の定数」などを復元する作業を行うことになります。
設立時の株主総会議事録すらないようなどうしようもない場合には、まず、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を参考に定款案を作成(模索)し、株主総会の特別決議(3分の2)をもって改めて定款を承認し、これを正式な定款とする、といった方法によるしかありません。
素人ではとてもムリでしょうから、ここは法律のプロである弁護士などに依頼して、法務局で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の記載内容を手掛かりに定款を“復活”させていきましょう。