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東京弁護士会所属弁護士

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会則を見直し、無用な行事や委員会や手続きを廃止する

PTA活動
August 29,2020

はじめに

 毎年、5、6か所ほどの小学校や幼稚園を訪問してPTAの役員や校長先生などとお会いし、法的な助言をしたり、PTAに関する意見を交換したりしています。

 その中には開校〇十周年といったような歴史のある学校もあり、このような学校は、戦後からとはいえPTAの歴史も古く、「昭和2〇年 施行」という記載がある「PTA会則」を見かけたりします。

 そして、時代を経るごとに改正に改正を重ね、現在、何十条にもわたる壮大なPTA会則が出来上がったりもしているわけです。

 そこで、今回は、PTAの会則について少し解説していきたいと思います。

会則に必要な最低限の項目とは

 PTAは、「任意参加」の「権利能力なき社団」と言われます。

 難しい説明は省きますが、要するに、国が「取引の主体」となることを認めている団体なので、例えばPTAから会報の印刷を請け負った印刷屋さんや、PTAのイベントのための物品の発注を受けた文房具屋さんなどは、まさに「PTA」と取引をすることとなります。この結果、たとえPTAの会長や副会長は、費用が足りなくなっても“自腹”を切る必要はないわけです。

 このように、PTAとは、国によって「取引をすることができる一つの団体」として認められているわけです。

 もっとも、このような団体として認められるためには、いくつかの要件があります。①メンバーが変わっても続くこと、②組織が定められていること、③会議では多数決の原則が適用されていること、④代表の選出方法、会議の運営方法、財産の管理の方法などが定められていることがその要件です。

 ここで、なるほど!と気づいた方もいらっしゃると思われます。

 すなわち、PTAが国から「取引をすることができる一つの団体」として認められるために「PTAの会則」というものが必要になるわけです。

 とすると、「PTAの会則」に記載しなければならない事項もおのずと決まってきます。

① 誰をPTAの会員とするのか
② 役員の構成(会長、副会長、書記など)や任期
③ PTA総会における決議の方法
④ 会長や副会長などの役員の選出方法、会計の方法

 最低限、これら4つが規定されていれば「PTAの会則」として十分なわけです。

 もちろん、上記①~④だけではいろいろと支障も出るでしょうから、現実的には、これらに加え、最低限、

⑤ PTAの名称
⑥ PTAの目的・活動内容
⑦ PTA総会の運営方法、PTA役員会の運営方法
⑧ 会則の改正方法

 なども必要となります。 

存在しない委員会や手続きなどを削除する

 前述のような歴史がある学校のPTAの場合、これらの規定のほかに、常置委員会、選任委員会、候補者選任委員会、学級代表委員会など、何をやっているのかよくわからない名称の委員会があったり、会長や副会長などの役員の選出手続きがものすごく複雑に定められているものがあったりします。

 果たして、規定通りに行われているのでしょうか。

 実は、いつの間にか手続きが省略されていたり、何年も開催されていない“委員会”が名前だけ残っていたり、ということが多いようです。

 PTAは、戦後、GHQの指導により導入されたという経緯があるのですが、当然のことながら、時代ごとにその役割が変わってきています。

 そうであれば、その時代にあった会則を整備することもまた大事なわけです。「ウチのPTA会則、何だか大そうな量があるけど意味がわからないところが多いんだよね」といった疑問がある場合には、そのまま“触らずに次世代にバトンタッチする”といったことはやめて、思い切って時代にあったPTAを議論し、これにあわせ会則を改正することについても議論すべきです。

「細則」を活用する

 ところで、「会則」を改正する手続きは、たいていの場合、多数決(過半数の賛成)ではなく、PTA会員の3分の2の賛成が必要だったりします。

 これは「会則」の改正は慎重に議論すべきであるという発想からきているのですが、例えば、「PTA会費の額」について「会則」をもって定めている場合、時代が変化して会費の額を変えなければいけない時には手続きが大変になります。

 そこで、「会則」では「PTA会費は、PTA役員会が制定する細則をもって定める」といった文言に留めておき、実際の金額は「細則」、すなわちPTA役員会で定めるとしておけば、時代の変化に応じて臨機応変に対応することが可能となります。

 他にも、年間行事、PTA総会の時期、各種会議の運営など、臨機応変が求められる事項や年度ごとに変更する可能性がある事項を「細則」に委ねることで、機能的、且つ迅速なPTA活動を行うことが出来ることでしょう。

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