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東京弁護士会所属弁護士

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自治会やPTAで“面倒な人”を何とかしたのだが。。。

予防法務
November 25,2021

 小中学のPTAや自治会などでは、生まれ育った環境や考え方などが全く異なる方々が、「子供が同じ学校に通っているから」、「同じ地域に住んでいるから」という理由で顔を合わせることになります。

 まぁ、このご時世、お付き合いが面倒であれば、“付かず離れず”の対応をしておけば、たいていの場合、トラブルになることはないのですが、PTAの役員や、自治会の役員などをやることになると、否が応でも苦手な人とお付き合いしなければならなくなることもあります。

 職業柄、PTAや自治会の役員さんから、「ちょっと面倒な人が役員にいて」という相談を受けます。

「意見が強い」というレベルではなく、「これは違法だ、刑事告訴だ、行政に告発する」などと息巻いていたり、「別な団体をつくる」などと騒ぎ始める方々がいるとのことです。

 こういう“面倒な人”を何とかできるかどうか検討します。

素人が語る「法律」や「違法」はほぼ間違い

 PTAや自治会の役員の中に、「これは違法だ」、「無効だ」などと騒いで(本人はそういう考えではないのかもしれませんが)会議を混乱させ、他の皆さんを困らせる人がいます。

 こういう方々は、たいていの場合、インターネット上の「自分にとって都合の良い法律情報」だけを切り取り、声高に主張してくるので面倒です。

 もっとも、「これは違法だ」、「無効だ」などと言われる方も、ほとんどの場合、法律とは疎遠なので、「違法だ」と言われると、反論もできず、ただただ委縮してしまう場合が多いのです(警察官を見かけると、何もしていないのにドキドキするのと似ていますね)。

 このような場合の最善策は、「では、あなたが言う違法について検討しますので、まず、何法に違反するということなのか、法律名と条文をあげてください」と質問することです

 それと、「法律の専門家に相談しますので文書に記載してください」とお願いしてみてください。
 
 おそらく、ほぼ黙ってしまうことでしょう。

 また、「知り合いの弁護士に確認したら違法だと言っていた」と、“知り合いの弁護士”作戦をとる“面倒な人”もいます。

 こういう場合、「では、直接、ご意見を伺いたいのでその弁護士さんのお名前を教えてください」と対応してみてください。

 半分ほどは、“知り合いの弁護士”などおらず、インターネットの何とか掲示板などで聞きかじった程度です。

 そして、正直、私もそうなのですが、弁護士は「正式な法律相談」ではない時に話したことを第三者に「山岸弁護士がこう言っていた」と伝えられることをとても嫌がるのです。

 ある人が「山岸弁護士がこう言っていた」と広めた内容について、それを聞いた見知らぬ人から問い合わせを受けたら、まず「正式な法律相談を受けたものではありませんし、責任持てません」と明言します(もっとも、テレビ等出演時に話したことは責任持ちます!)。

 要するに「そんなこと言ってませんよ」と対応されてしまうわけです。

 このように「法律」をインチキに使おうとする“面倒な人”には、「法律」や「違法」という言葉に臆することなく、質問攻めにすることが一番です。
 

任意団体では「会則」が全て

 それでも、PTAや自治会の役員の中に、「この人とはもうやっていけない」、「何とか辞めてもらいたい」といった人がいる場合があります。

 実は、時として、「『これは違法だ』、『無効だ』などと騒いで会議を混乱させ、他の皆さんを困らせる人」の方が正しい場合もあるのですが、とはいえ、親睦・協調・仲良くが大切なPTAや自治会では、“面倒な人”を排除したくもなりますよね。

 この場合ですが、「何とか法」によって設立されたり、「何とか法」によってその存在が認められていたりする団体ではないPTAや自治会のような団体の場合、その団体を規律する唯一のルールは「会則」です。

 このため、「会則」に則って行動している方が、たいていの場合、「勝ち」ます。

 なぜなら、このような団体には、会社法、地方自治法といったような適用される法律がないため、また、監督官庁もないため、万が一、裁判沙汰にでもなったときには、裁判官は「この団体の会則にはどう決めてあるの?この会則に従っているの?」としか考えられないからです。

 ここで、“面倒な人”を排除したいという気持ちはわかるのですが、「会則」には、「役員の選任手続き」について定めていても、「役員の解任手続き」については定めていない場合がほとんどです。

 したがって、どんなに“面倒な人”がPTAや自治会の役員にいて、この人のせいで会議が前に進まない場合であっても、「解任」という方法で追い出すことはできないのです。

 ではどうすればよいか。
 
「会則」の「改正規定」にしたがって「他の役員全員の賛成多数により役員を解任できる」、「総会の議決(多数決)により役員を解任できる」などという規定を新設すればよいわけです。

 まぁ、ここに至るまでが大変でしょうが、愚直に進めるのが一番の近道です。

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