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東京弁護士会所属弁護士

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ネット上の画像の無断使用のペナルティ

紛争解決
August 26,2020

はじめに

 ネット上で公開されている画像であっても、当該画像(著作物)を撮影・作成した著作権者に著作権があることから、著作権者に無断で当該画像(著作物)をコピーして紙媒体に使用したり、ホームページで使用したりすることは著作権法に違反します。

 他人の著作権を侵害してしまった場合、当該画像(著作物)の使用を差し止められたり、損害の賠償を求められたりすることがあります。

 賠償額については様々な考え方がありますが、実際に著作権者から当該画像(著作物)の使用が許諾された場合の「使用料相当額」とする考え方が主流です。

著作権について(概論)

 インターネットという双方向性メディアが発達した今日においては個人が情報を発信することが容易になり、この結果、インターネット上には、個人などが作成した文章、画像、写真など、様々な「表現物」が掲載されています。

 そして、これらの「表現物」が「著作物」として認められる場合には、法律上、様々な権利が付与されます。

 これらの権利は、まとめて「著作権」と呼ばれていますが、そもそも「著作物」とは、自分の思想や感情を、文芸、学術、美術又は音楽として創作的に表現したものをいい、「著作権」とはこれらを独占的に利用支配することができる権利を意味します。

 ところで、「まとめて『著作権』と呼ばれている」と記載したとおり、「著作権」は、①著作物を財産的に管理する権利と、②自己を実現するための人格的な権利として分類することができ、さらに、著作権法は、それぞれ著作物の用途、目的などに応じて細かく「権利の種類」を定めています。

 ①の権利として分りやすいものの一つが「複製権」です。ここで複製とは、文章や画像などの表現物をコピーしたり、映像や音楽を録画・録音したり、印刷したり、模写(書き写し)したりすること、また保管することなどを意味します。

 これらは、本来、著作物を創作した者(著作者)しかできない行為であり、著作権法は著作物を複製する権利を専有すると規定しています(著作権法第21条)。

 また、②の権利としてよく知られているものの一つが「氏名表示権」です。この「氏名表示権」とは、著作物を公表する際、自分の名前を表示するかしないか、また、表示の方法について決定できる権利を意味します。

 要するに「誰の著作物か」を明らかにすることができる権利です。

インターネット上の画像の著作権

 インターネット上の画像も、それらが思想や感情を創作的に表現されているものであれば、著作物として認められ、著作者には前述の権利が与えられます。

 そのため、著作権者に無断で当該画像(著作物)をコピーして会社の資料に使用したり、ホームページで使用したりすることは、著作権者の複製権を侵害し、著作権法に違反します。

「フリー素材」についての注意

 ところで、インターネット上には、「フリー素材」という無料で使用することができる、すなわち、インターネット上から自由にコピーしたり、ダウンロードしたりして使用することができる写真、イラスト、アイコン、イメージなどがあります。

 もっとも、「フリー」という文言を使用してはいますが、著作物である以上、多くの場合、著作権者が存在しない(放棄されている)わけではなく、その使用方法について細かな規約などが存在します。

 このように「フリー素材」も、著作権者が定めるルールに従ってはじめて使用(複製)することができるわけですから、当該ルールに従わなければ、当然、著作権法に違反することになるので、注意が必要です。

損害と賠償額の考え方

 仮に、他人の著作物を無断で使用してしまった場合の賠償額についてですが、著作権侵害に限らず、「何らかの権利が侵害された場合の損害」について、最高裁判所や多くの法律学者は、「差額説」という考え方を採用し、当該「差額」分を賠償額としています。

 この「差額説」とは、「権利の侵害」がなかった場合の権利者(被害者)財産状態と、「権利の侵害」があったために実際に変化した権利者(被害者)の財産状態との差額を損害と捉える考え方です。

 要するに、「この侵害がなければ、今、これだけの財産があったはずなのに、実際は侵害があったので、今、これしか財産がない。この差額を損害と判断し、賠償額を計算する」というものです。

 この考え方をあてはめると、「インターネットで公開されていた画像」については、事前に著作権者に対し画像の使用を申込み、当該著作権者が使用料を設定していれば「このくらいの価格」で使用できたであろうという金額が賠償額となるわけです。

 実際、東京地方裁判所平成27年4月15日判決は、ネット上で画像販売をしているアマナイメージズの画像を無断で使用した事件において、「被告は、原告アマナイメージズが、予め設定している写真などの使用料を損害賠償額とすべきである」と判断しています。

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